ハウスメーカーと建築家、結局どちらが高い?注文住宅の総額で徹底比較
「注文住宅を建てるなら、ハウスメーカーと建築家、どちらが安いのでしょうか?」
これは家づくりを検討している方から、よく聞かれる質問です。
一般的には、
「ハウスメーカーは大量仕入れだから安い」
「建築家に頼むと設計料が別にかかるから高い」
というイメージがあるかもしれません。
しかし、住宅業界に27年間携わり、ハウスメーカーとは異なる住宅会社での営業や施工管理、建築家との家づくりを経験してきた私からすると、そんなに単純な話ではありません。
特に、ある程度予算をかけてこだわった注文住宅を建てようとする場合、価格の仕組みは大きく変わってきます。
今回は、ハウスメーカーと建築家の住宅を、単純な坪単価ではなく、最終的な総額と住宅の完成度という視点から比較してみたいと思います。
ハウスメーカーと建築家では、お金の流れが違う
まず知っておいていただきたいのは、家づくりの仕組みそのものが違うということです。
ハウスメーカーの場合、基本的には一つの住宅会社が設計と施工を請け負います。
一方、建築家に依頼する場合は、一般的に建築家と設計監理契約を結び、工務店と工事請負契約を結びます。
つまり、
ハウスメーカーは設計施工一体型。
建築家住宅は設計と施工を分離する方式。
という違いがあります。
この違いが、価格の見え方にも影響します。
建築家住宅は設計料が別にかかるから高い?
建築家に依頼する場合、設計監理料が発生します。
金額は設計事務所や建物の規模、業務内容によって異なりますが、工事費に対する割合などで設定されるケースがあります。
例えば、仮に工事費1億円に対して設計監理料が12%であれば、設計監理料は1,200万円です。
※これは計算例であり、すべての設計事務所に当てはまる料率ではありません。
この数字だけを見ると、
「設計料が1,200万円も余計にかかるのか」
と思うかもしれません。
しかし、ハウスメーカーには設計費がかかっていないのでしょうか。
当然、そんなことはありません。
設計士もいますし、構造計算や各種申請、図面作成などの業務もあります。
ただ、それらの費用が建物価格の中に含まれていたり、別の項目で計上されていたりするわけです。
つまり、
設計料が見えているか、住宅価格の中に含まれているか。
この違いもあるのです。
設計料という項目が別にあるだけで、建築家住宅の方が高いと判断するのは早いと思います。
ハウスメーカーの価格には何が含まれているのか
ハウスメーカーには、さまざまなメリットがあります。
商品開発。
品質管理。
保証体制。
アフターサービス。
住宅展示場。
全国規模の営業体制。
こうした仕組みが整っていることは、大きな強みです。
ただし、それらを維持するためには当然コストがかかります。
住宅展示場の建設費や維持費。
テレビCMやインターネット広告。
営業社員の人件費。
本社や支店の運営費。
商品開発費。
こうした費用も、最終的には会社全体の事業収益の中から賄われます。
もちろん、これらが無駄だという話ではありません。
大手企業ならではの安心感やサービスを提供するために必要なコストです。
ただ、
施主が支払う住宅価格のすべてが、その家の材料費と施工費に使われているわけではない。
ということは理解しておいてもいいと思います。
工務店に頼めば、その分安くなるのか?
では、建築家が設計し、工務店が施工すれば必ず安くなるのでしょうか。
これも、必ずしもそうではありません。
工務店にも当然、会社を運営するための経費や利益が必要です。
また、建築家住宅は一棟ごとに設計内容が異なるため、標準化された住宅より施工に手間がかかる場合もあります。
特殊な材料。
複雑な形状。
大開口のサッシ。
細かな納まり。
オーダーキッチン。
造作家具。
こうしたものが多ければ、工事費は高くなります。
つまり、
建築家+工務店だから安い、という単純な話でもありません。
重要なのは、どんな家を建てるのかということです。
同じ1億円なら、どちらが良い家になる?
ここからが、私が一番お伝えしたいところです。
例えば、ハウスメーカーと建築家+工務店の両方に、総額1億円の予算を提示したとします。
ハウスメーカーでは、その会社の構造や工法、標準仕様をベースに、希望する間取りや設備を組み合わせていきます。
一方、建築家住宅では、敷地条件や施主の暮らし方を踏まえ、基本的にはゼロから設計していきます。
どちらにもメリットがあります。
ただ、住宅のデザインや空間のつくり方に強くこだわる場合、建築家住宅の方が自由度を生かせる可能性があります。
例えば、
窓の配置。
天井の高さ。
壁と天井の取り合い。
素材の組み合わせ。
照明の見せ方。
造作家具と建築の一体感。
庭とのつながり。
こうした部分は、住宅の完成度を大きく左右します。
しかも、必ずしも高価な材料を使えば良くなるわけではありません。
同じ予算でも、設計の仕方によって住宅の質は大きく変わる。
これは私が実際の家づくりを通じて強く感じていることです。
高額な住宅と高級な住宅は違う
私は以前から、
「高額な住宅」と「高級な住宅」は違う
と考えています。
例えば、建物に1億5,000万円かかったとします。
高価なキッチン。
大きな浴室。
高級な床材。
大きな窓。
設備も充実している。
もちろん、それは素晴らしいことです。
しかし、高価なものをたくさん採用しただけで、必ずしも上質な住宅になるとは限りません。
反対に、素材の種類を絞り、窓の位置や光の入り方、家具とのバランスを丁寧に設計した住宅が、非常に上質に感じられることもあります。
私が考える高級住宅とは、
高価なものを集めた住宅ではなく、建築全体がきちんと設計された住宅。
そういうものだと思っています。
ハウスメーカーの高級住宅なら、建築家住宅と同じでは?
ここは少し踏み込んでお話しします。
最近の大手ハウスメーカーには、非常に高額な住宅商品もあります。
設計自由度を高めた商品や、著名な設計者と協業するケースもあります。
そのため、ハウスメーカーだから画一的な家しかつくれない、ということではありません。
ただし、ハウスメーカーには基本となる構造や工法、設計ルール、使用できる部材などがあります。
その枠組みの中で設計することになります。
これは品質の安定や施工効率という意味ではメリットです。
一方で、設計上の制約になる場合もあります。
建築家住宅の場合も法規や構造、予算の制約は当然ありますが、特定の商品体系を前提としないため、より自由に計画できる可能性があります。
ここは大きな違いだと思います。
建築家住宅は予算オーバーしやすい?
「建築家に頼むと、どんどん予算が上がりそう」
という不安もあると思います。
確かに、そういうケースはあります。
ただ私は、建築家だから予算オーバーするというより、
設計と予算管理をどう進めるかの問題
だと考えています。
例えば、建築家と何か月もかけて設計を進め、実施設計が完成してから初めて工務店に見積を依頼する。
その結果、
「予算を2,000万円オーバーしました」
となる。
こうした進め方では、せっかく完成した設計を大幅に変更しなければならなくなります。
だから私は、基本設計の段階から工務店に概算を確認し、設計と予算を並行して進めることを重視しています。
設計が進む。
金額を確認する。
仕様を決める。
再び金額を確認する。
必要ならVE・CDを行う。
設計と見積を何度も行き来する。
これが、予算を守りながら建築家住宅をつくるための重要なポイントです。
本当に比較するなら「同じ条件」で比較する
ハウスメーカーと建築家住宅の見積を比較する場合、注意していただきたいことがあります。
例えば、
A社:9,000万円
B社:1億円
という見積が出たとします。
単純に見ればA社の方が1,000万円安いですよね。
しかし、ここで確認すべきことがあります。
外構工事は含まれているのか。
空調設備は含まれているのか。
照明は含まれているのか。
造作家具は含まれているのか。
キッチンの仕様は同じか。
サッシの性能やサイズは同じか。
設計監理料は含まれているのか。
こうした条件が違えば、比較にはなりません。
さらに、同じ延床面積であっても、空間構成や仕上げ、施工の難易度によって金額は変わります。
だから私は、
見積書の合計金額だけで住宅会社を比較することには、あまり意味がない
と思っています。
比較すべきなのは、
その金額で、最終的にどんな住宅が完成するのか。
こちらです。
ハウスメーカーが向いている人、建築家が向いている人
では、どちらを選べばいいのでしょうか。
私は、どちらかが絶対に正しいとは思っていません。
ハウスメーカーが向いているのは、例えば、
大手企業の保証体制やブランド力を重視したい方。
商品や仕様がある程度整理されている方が安心できる方。
展示場などで完成イメージを確認したい方。
標準化された工法や品質管理に魅力を感じる方。
こうした方だと思います。
一方、建築家住宅が向いているのは、
敷地の特徴を最大限に生かしたい方。
デザインや空間の質にこだわりたい方。
既存の商品や仕様にとらわれずに考えたい方。
家具や外構まで一体で設計したい方。
自分たちの暮らしに合わせた住宅をゼロからつくりたい方。
こうした方だと思います。
もちろん両方に当てはまる方もいるでしょう。
だからこそ、最初から依頼先を決めつけない方がいいと思っています。
最初に住宅会社を決める必要はあるのか?
私は、ここが家づくりで非常に重要だと思っています。
一般的には、
住宅展示場へ行く。
気に入った住宅会社を見つける。
営業担当者と打ち合わせをする。
その会社で家づくりを進める。
という流れが多いと思います。
もちろん、それで満足できる家が完成することもあります。
ただ、まだどんな家をつくりたいか決まっていない段階で住宅会社を決めてしまうと、
その会社でできる家づくりの中から選ぶ
ことになります。
私は、順番が逆でもいいと思っています。
まず、どんな暮らしをしたいのか。
どんな住宅が好きなのか。
どこにお金をかけたいのか。
総予算はいくらなのか。
そこを整理する。
そのうえで、最適な依頼先を考える。
住宅会社を選ぶ前に、家づくりの方向性を決める。
これが大切だと思っています。
建築家と工務店を組み合わせるという選択
私自身、住宅営業も施工管理も経験してきました。
だからこそ感じるのは、設計と施工はどちらも非常に重要だということです。
優れた建築家が設計しても、それを実現できる工務店でなければ良い住宅は完成しません。
反対に、施工技術が高い工務店でも、設計が十分でなければ住宅の魅力を引き出せないことがあります。
そして、どちらも優れていても、予算管理ができなければ家づくりは難しくなります。
私は、
建築家の設計力 × 工務店の施工力 × 予算管理
この3つを組み合わせることが、非常に合理的な家づくりだと考えています。
結局、ハウスメーカーと建築家はどちらが高い?
最後に、最初の質問へ戻りたいと思います。
「ハウスメーカーと建築家、どちらが高いのでしょうか?」
私の答えは、
どちらが高いかは、建てる住宅の内容によって変わる。
です。
設計料が別にかかるから建築家住宅が高い、とは限りません。
大量仕入れをしているからハウスメーカーが安い、とも限りません。
もちろん建築家住宅の方が高くなるケースもありますし、ハウスメーカーの方が合理的な価格になるケースもあります。
大切なのは、坪単価や最初の見積金額ではなく、
同じ総予算で、どんな住宅が実現できるのか。
そして、その住宅が自分たちの求める暮らしに合っているのか。
そこだと思います。
株式会社リバースの注文住宅づくり
株式会社リバースでは、特定の住宅商品を販売していません。
まず施主の希望や暮らし方、総予算を整理し、その住宅にふさわしい建築家と工務店を選定します。
そして設計の初期段階から施工費を確認し、設計と予算を並行して進めていきます。
私たちが目指しているのは、単に安い住宅をつくることではありません。
また、高額な住宅をつくることでもありません。
かけた予算に対して、できる限り質の高い住宅を実現すること。
そのために建築家と工務店の間に入り、設計、施工、予算のバランスを取っていきます。
注文住宅を検討している方には、ぜひ一度考えていただきたいと思います。
「どの住宅会社で建てるか」を決める前に、「どんな家を建てたいのか」を考えてみる。
それが、後悔しない家づくりの第一歩ではないでしょうか。
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建築家に注文住宅を依頼すると費用はどう変わる?設計料から工務店費用まで詳しく解説 #建築家 #注文住宅 #設計料 #建築費 #工務店費用
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